サッカーのビジネスに携わるようになってから、これまでたくさんの試合を観てきました。Jリーグから始まり、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、アルゼンチン……。契約する選手の移籍を実現するために、移籍後はサポートするために、世界中を飛び回ってきました。

その中で「最も印象に残っている試合は?」と聞かれたら、迷わずこう答えます。2001年3月にサンドニで行なわれたフランス代表対日本代表だと。

のちに「サンドニの悲劇」と呼ばれるようになったこの試合で、日本はフランスに叩きのめされてしまいます。雨によってぬかるんだピッチに日本人選手が苦しんだのに対して、W杯王者のジダンやプティは苦もなくプレーしていました。そして、個人的に驚かされたのがアンリでした。速くて、しなやかで、ダンスをするかのようにゴールを決める。

こんなストライカーが日本にいたら――。日本が0対5で敗れた試合後、ずっとそのことが頭から離れませんでした。

この試合はフジテレビが中継をしており、偶然、風間八宏が解説の仕事で現地に来ていました。私と風間はともに静岡県出身で、自然とスタジアムで顔を合わせる機会が多く、すでに当時、頻繁に食事をする仲になっていました。

サンドニのスタジアムでは、私は風間にこう伝えました。

「アンリみたいな選手を日本からも生み出せないだろうか」

すると風間は、こう即答したんです。

「できる。その育成に取り組むのが俺たちの仕事だ」

そこから私たちは行動を始めました。静岡県の清水において、小学生から高校生を一同に会して練習する「スペシャルトレーニング」(通称スペトレ)をスタート。徹底的に技術にこだわり、年代を越えてサッカーの魅力を追求していく。名門高校の先生たちも駆けつけてくれて、ものすごい熱気に包まれていました。

そのときに立ち上げたのが、この「すぽると」という会社です。

あれから時が流れ、スペトレから巣立った選手の中からJリーガーが生まれました。育成へのアプローチは、現在「トラウムトレーニング」という形で受け継がれています。

縁のあった選手たちは、みんな「サッカー・ファミリー」です。この輪をどんどん大きくしていくことを、私たちは目指しています。

八木秀一郎